学生は正直と思う

魅力回復は道遠し? ITサービス業界、学生の人気が低迷
http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMIT0z000021012008

上記でも取り上げられ、各所でも話題の経営者と学生のやり取りについての個人的感想。

学生::3Kといわれている現状の解決策をどのように考えていますか?
経営者::3Kなどと言われているが、3Kの“帰れない”は、帰りたくない人が帰れないだけ。スケジュール管理の問題だ(学生はあっけに取られる)

自分のスケジュールを決定・調整できる立場の人間は、まぁ「スケジュール管理の問題」と言えなくもないかもしれません。事実、私の知るそういう立場の人間は、自分の時間を捻出するためにうまく立ちまわっていましたもの。客先との打ち合わせを朝の10時とか11時とかに設定して客先直行しますとか(自社の通常の始業は9:00で8:50集合)、16時に設定して「打ち合わせ終わったのでそのまま直帰します」とかやってましたもの。
でも、そういう立場じゃない人間も数多くいるわけで。てかいないと仕事回んないでしょ。競争上厳しめに設定されがちな納期に誰が間に合わせようとがんばっているのか。自分の時間でもいいはずの時刻帯まで働いているのか。

あと、スケジュールとは関係ない分野の人間もいます。障害が発生したら、スケジュール関係なく出動しなきゃいけない人間もいるわけで。私もDBのハードウェア障害でなんどとなく休日や深夜に出動してきましたよ。でも、人員に余裕ないから休めないわけで。

そういう環境面に対するケアは考えてますか?、という問いに対して、「スケジュールの問題」という回答はどうだったんでしょうか。

学生::大学でどのような専門能力を身につけてきて欲しいですか?
経営者::コミュニケーション能力に長けていると良い

学生::それで、本当にヤフーやグーグルに勝てる産業になれるのですか?専門知識は要らないのでしょうか?

私も社会人になってからさんざん「コミュニケーション能力必要!」とか言われてきました。必要と思いますが、それは別にどの業種でも必要でしょう。人間社会そのものがコミュニケーションなんだし。

私は理系を歩んできました。受験してやっと工学系の大学に入ったら、一般教養の物理や数学もかなり難しくて、専門科目も難解。レポートもたくさん出るし、実験も時間かかるし結果まとめるのも大変。必修の課目ばかりで、あいてるスキマの時間に専門外の一般教養科目社会学とか経済とか)をかろうじて受けれる程度でした。
文系の学生は、授業もずいぶん余裕があり、バイトやサークル活動に精をだし、ずいぶん楽しげにエンジョイしてるなぁ、と思ったものですが、なんと会社に入ったら、こういうバイトやサークル活動をエンジョイしてた学生のほうが「コミュニケーション能力ありますね!」って言われるんですもの。

その経営者がどういう人材を求めていたのか知りませんが、「コミュニケーション能力に長けていると良い」ばっかりですと、大学時代に学業に精を出してた学生は行きたくなくなっちゃいますよね。

そういう経営者の企業が人材に敬遠されて淘汰されるだけなら別に構わないんですが、私のいるこの業界全体がそういうふうに染まってしまっていること、思われていること、そして競争力を失ってることはずいぶん寂しいものです・・・。